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2020.07.21

完成度100%!左手だけが奏でる美しいピアノ曲たちの数々

左手だけでピアノを弾く。

そう聞いたとき、どんなことを思い浮かべるでしょうか。
両手で弾くことで一つの曲として成り立つピアノ曲に慣れている私たちは、左手だけの演奏というと、物足りなさを感じるイメージがあります。右手ではメロディーを、左手ではハーモニーを演奏するのが常識と思っている私たちには、左手だけの演奏が成り立つのかという疑問もわいてきますね。
ところが、左手だけの演奏は一つの曲として完結し、それを聴く人を感動させる大きな力があるのです。「本当に左手だけで弾いているの?」という素朴な疑問が浮かぶほど、欠けたところがない美しさなのです。
今日は、左手だけで奏でるいくつかの曲をご紹介いたしましょう。

左手のピアノ曲代表 ラヴェル作『左手のためのピアノ協奏曲』

左手だけで弾くピアノ曲の筆頭として名が挙がるのが、モーリス・ラヴェルによる協奏曲でしょう。
この協奏曲には、悲愴なエピソードがあります。
20世紀に活躍したオーストリアのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインは第一次世界大戦で右腕を失いました。しかしヴィトゲンシュタインは、ピアニストとしてのキャリアをあきらめることはありませんでした。1916年当時、ヴィトゲンシュタインが過去の作品から見つけた左手だけで演奏できる曲目は、わずかに2つ。そのため、ヴィトゲンシュタインは、高名な作曲家たちに左手だけの演奏曲を依頼したのです。
ヴィトゲンシュタインが作曲を依頼した音楽家は、ベンジャミン・ブリテンやセルゲイ・プロコフィエフ、そしてラヴェルもその1人でした。
1930年頃に完成したといわれるこの協奏曲を作るにあたり、ラヴェルはサン=サーンスの「左手のためのエチュード」をとことん研究したという言い伝えがあります。
ラヴェルによって完成した『左手のためのピアノ協奏曲』は、現在は両手のピアニストも演奏する人気を誇ります。ラヴェルらしい大胆でドラマチックな曲調の中で、左手だけとは思えないほど躍動的なピアノの音が踊っています。
一時的に右手に問題があるピアニストにもよく演奏されるこの協奏曲、ミシェル・ベロフも一時期演奏していました。

舘野泉さんの再起のきっかけを作った曲 ブリッジ作『左手のための3つのインプロヴィゼーション』

日本で左手の演奏者といえば、舘野泉さんが有名です。
2002年にコンサート中に病に倒れた舘野さんは、右手の麻痺によってそれまでの演奏ができなくなりました。
多くの人がラヴェルの『左手のためのピアノ演奏曲』を例に出して慰めてくれたそうですが、舘野さんはそれよりもバイオリニストの息子さんが黙っておいていったブリッジの楽譜によって立ち直ったと語っています。
ブリテンの師として有名なブリッジは、弟子ほど高名な音楽家ではありませんでした。作曲家としても不遇であったのですが、前衛的なその曲の中にはかぎりない抒情が漂っています。
舘野さんの心をとらえたブリッジのこの曲にも、凛とした力強さが押しつけがましくなく響いてきます。舘野さんにブリッジの演奏には、絶望から立ち上がった1人のピアニストの喜びを感じることができます。

右手の故障を乗り越えた作曲家アレクサンドル・スクリャービン作『左手のための小品』

ラフマニノフの同級生であったスクリャービンは、生まれながらのヴィルトゥオーゾといわれたラフマニノフと比べると、ピアニストには不利な小さな手の持ち主であったそうです。にもかかわらず、いやだからこそというべきでしょうか、「左手のコサック」という異名を持つほど軽妙で卓越した左手の演奏の技量の持ち主でした。
その彼が作曲した『左手のための小品』はラフマニノフも在籍していたモスクワ音楽院で、難曲の制覇数を競っている最中に右手を痛め、それをきっかけに誕生したといわれています。
スクリャービンの「左手のための小品」は、ショパンを思わせるようなロマンチックなメロディーが特徴的で、弾き手の内面を静かに引き出していくような魅力があります。

バッハ作曲・ブラームス編曲『左手のためのシャコンヌ』

ピアニストとしても有名であった大作曲家ヨハネス・ブラームス。
その彼が、ひそかに恋していたといわれるのがシューマンの妻クララです。クララ・シューマンも、高名なピアニストでした。
そのクララがある時期、けがのために右手が使えない時期があったのだそうです。ブラームスはさっそく、バッハの『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番』を左手だけで演奏できるように編曲し、クララに捧げたのです。
バッハが作曲した無伴奏曲に共通するシンプルで深い旋律が、左手だけで再現される名曲。
左手のピアノ演奏曲の中でも、特に難度が高い1曲として知られています。

エルヴィン・シュルホフ『組曲第3番』

第二次世界大戦中、ユダヤ人として迫害を受けて強制収容所で落命した作曲家エルヴィン・シュルホフ。実験的にさまざまなジャンルの音楽を作曲に取り入れたシュルホフによる左手のピアノ曲は、勇壮さと幻想が特徴です。のちに迫害によって命を落とす悲運の音楽家の運命が、そこに重なります。
ピアノだけで、しかも左手だけで、宇宙を表現しているような完璧な世界がくりひろげられます。

最後に
左手しか使えないという制約は、なんとなく痛々しいイメージを持ってしまいます。実際に演奏を聞けば、私たちがそんな感情を持つことがおこがましいほど、左手での演奏は1つの世界として完結しているのです。
左手のみの演奏の背後にあるそれぞれのストーリーが、十全にその演奏に反映されて、私たちの感情をゆすぶります。
現在は、舘野さんをはじめとする左手の演奏家たちの努力によって、左手によるピアノの曲目も増えています。その美しい調べに、ぜひ耳を傾けてみてください。

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