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2019.07.20

音楽がもつさまざまな効能を子どもたちへ 音楽教育の重要性とは

人間の文明がうまれてこのかた、音楽は常に人類の傍らに存在してきました。
時代が移り変わり音楽もさまざまな形に変化していますが、私たち人間にとって音楽のない生活などありえないといっても過言ではありません。
サイエンスの分野から見た音楽が持つさまざまなパワーについては、毎日のように世界中の研究者によってその効果が報告されています。
コンピュータや人工知能が生活に浸透している現代。音楽は、人々にどんな影響を与えるのでしょうか。

「子守歌」と「舞曲」、そのメッセージは言葉なしに伝わる

2018年に、ハーバード大学が音楽に関するたいへん興味深い研究を発表しました。
それは、音楽の持つ普遍性についてです。言いかえれば、音楽の中に込められた感情を、その音楽を過去に聴いたことがない人でも理解できるかというのがテーマになっています。

実験は、次のように行われました。
60か国の750人に、少数民族も含めた36の文化の中で生まれた音楽を聴いてもらい、そのテーマをどのように理解したかを尋ねました。「子守歌」「踊るための曲」「愛を告白する曲」「鎮魂曲」などの項目から、聴いた音楽にふさわしい内容を選んでもらったのです。

その結果は驚くべきものでした。
人々は、その音楽が属する文化にまったく無知であっても、音楽に内包された「思い」をほぼまちがいなくつかみ取ることができたのです。とくに、単調なメロディーを持つ「子守歌」と、軽快なリズムを持つ「舞曲」については、ほぼ100%の正答率でした。
つまり、音楽には言語も文化も国境も超えた、普遍的な資質があることが、サイエンスによって証明されたことになります。国際化という言葉を聞くようになってだいぶたちます。しかし、言語の壁は決して低くありません。
言葉で意思の疎通ができなくても、音楽によって人々はコミュニケーションをとることが可能なのかもしれません。

音楽は子どもたちになにを与えてくれるのか

日本では、伝統的に6歳になった6月6日は「稽古始め」と呼ばれて、さまざまなお稽古を始める伝統がありました。このお稽古事の内容は、音曲が非常に多かったようです。明治期や大正期の女性たちが音曲を習っても、当時の社会状況を考えればプロになるという目的であった可能性は低く、見識ある両親が子どもたちに教養を身につけさせるための手段であったのでしょう。現代の日本でも、小学校の教育においても音楽は必須科目となっています。
著名な音楽家を多数生んだヨーロッパはどうでしょうか。
ヨーロッパではよく、幼児期に音楽を教えることについてのメリットがよく論議されます。というのも、過去に巨匠と呼ばれる音楽家を輩出してきた国といえども音楽教育が重要視されないことも多く、それを憂える音楽関係者が多いためです。
日本は、この点においても先進国といえるかもしれません。

楽譜を読み、楽器を奏でる。

その行為は、読み書きとは全く別のスキルとして脳のさまざまな領域を刺激し、子どもたちの脳の発達に大きな役割をはたすのです。
さらに、アンサンブルによって協調性を身につけることも、欧州の音楽家たちが重要視している点です。他人の奏でる音に耳を傾け、周囲に注意を払い、グループが調和するように自身も音を出すことは、人格の形成や社会への対応力を養うのだそうです。
そもそも、西洋の学問の基礎となった古代ギリシアやローマのリベラルアーツには、文法学や論理学、数学とともに音楽も含まれています。教養の根底には、音楽に関する素養も必要ということなのでしょう。

音楽によって活性化する脳

音楽教育が子どもたちにもたらすメリットの中でも特に注目を浴びているのが、言語能力の促進です。
2016年にワシントン大学の学習・脳科学研究所が発表した内容によれば、音楽も言語も独自のリズム感を持つために、声や音を識別する能力を同じように発達させると報告されています。

その理由とはなんでしょうか。
まだ自分の意志を言葉で伝えることができない赤ちゃんたちは、音や光が絶えず変化し交錯する複雑な世界の中で生きています。赤ちゃんたちは、まわりで起こる活動のパターンを見ながらそれを脳内でモデル化し、次に起こることを予測しようとしているわけです。身近にある事象や活動のモデルを認識していくことによって培われるのが、認識能力です。
専門家によれば、幼児期にこの能力が向上することは、その後の学習能力にとても大きな力を発揮するのだそうです。

ワシントン大学の研究では、対象になったのは9か月の赤ちゃんたち。赤ちゃんたちは、1週間リズムや音楽に合わせて体を動かすセッションに参加しました。
1週間後、音楽を聴く赤ちゃんたちの脳を脳磁図(MEG)によって分析したのです。
その結果判明したのは、音楽に親しむ赤ちゃんたちの脳は、情報の処理や認知機能をつかさどる脳の領域でとても活発な動きが認められたことでした。
ということは、新生児といえども音楽やリズムを感じることで、脳を活性化し学習能力を身につけることが可能というわけです。
音楽が言語を習得するのに役に立つことは、なにも赤ちゃんにかぎったことではありません。私たちも、英語やフランス語などの外国語を学ぶために、その言語で歌われる音楽を効果的に使った経験があるはずです。愛や恋の歌は、言語習得にはもってこいの題材ですね。

音楽は子どもの大事な栄養素

さらに音楽には、悲しみを癒したり痛みを抑えたりする作用もあることをご存知ですか。ここ数年、こうした研究が世界各地で行われ、音楽がもたらすさまざまな効能がニュースになっています。

研究者がこうした実験や研究に使用する音楽は、たいがいはクラシック音楽でありモーツァルトの楽曲です。ですから、モーツァルトの音楽に偉大なパワーが内包されていることは疑いの余地がありません。

それでは、妊娠期間に胎教のために聴き、生まれた赤ちゃんに聴かせる音楽はモーツァルトやバッハやベートーヴェンでなくてはいけないのでしょうか。
人生の最初の1000日間(0歳から3歳)は、子どもの認知能力が著しく発達する時期と重なります。この時期に、クラシックだけではなくさまざまな分野の良質な音楽を聴くことは、読み聞かせをするのと同様の効果があるといわれています。子守歌や童謡だけではなく、ポップやロックからも、子どもたちはコミュニケーションの手段として情報を得ているからです。

ある研究家は、幼児期に音楽を聴くことは脳に筋肉をつけるに等しいと語っています。あらゆるジャンルの音楽を耳にすることによって、想像力や創造性が高まり、記憶力が向上し、集中力さえも養われるのだそうです。
寝る前の子守歌も、歌ったり踊ったりするときの軽快な音楽も、言語能力や空間認知能力育成のためには大事な栄養素なのです。

クラシックミュージックのすすめ

音楽の授業で聴くベートーヴェンの「運命」やヴィヴァルディの「四季」などのほかはあまりクラシックの音楽を知らないという10代の若者がほとんどではないでしょうか。
実際、ある調査によれば、10代の若者の40%はポップミュージックを、25%はロック、18%がラップ、そして残りの15%の中にクラシックをはじめとするその他の音楽のジャンルが含まれているのだそうです。
クラシック音楽が敬遠されてしまう理由のひとつには、やはりそれに触れる機会がとても少ないことが要因のひとつといわれています。
人類の文化的遺産といってよいクラシック音楽はしかし、最近の研究だけでも次のような効能が報告されているのです。

  • 脳の活動を改善し、思考を刺激する。
  • 心も体もリラックスさせて、よい睡眠をもたらす。
  • ストレスを軽減する。
  • 心拍数を正常化させて、高血圧を予防する。
  • 慢性的な痛みや術後の痛みに効く。
  • 自己表現の促進に役に立つ。

また、アメリカで教員を対象に行った研究によると、ベートーヴェンとボブ・ディランを好む人は知能が高いことまで報告されています。

若者たちもストレスにさらされる現代だからこそ、クラシック音楽がもたらす優しい効果はティーンエイジャーに必要なのではないでしょうか。
そしてなによりも、玉石混交の情報に埋もれている私たちにとって、クラシック音楽という一級の文化遺産と触れることは価値観を養うためにできる身近で確実なメソッドといえるかもしれません。

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